なぜ便潜血検査は2回行う必要があるのか?陽性が出たらどうなる?消化器内科医が解説
健康診断や人間ドックで実施される便潜血検査。
「なぜ1回だけでなく2回も採便する必要があるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
大腸がん検診の重要なスクリーニング検査である便潜血検査は、私たちの目に見えない微量の血液が便に混じっていないかを調べるものです。
今回は、この検査が2回法で行われる理由と、もし「便潜血陽性」と診断された場合にどうすれば良いのかについて、消化器内科医の立場から詳しく解説いたします。
便潜血検査が2回法で行われる理由
便潜血検査が1回ではなく2回行われるのには、主に以下の3つの理由があります。
- 出血のタイミングによる検出率の向上:
大腸からの出血は、常に一定して起こるとは限りません。
ポリープや早期のがんからの出血は、一時的なものであることもあります。
1回の検査だけでは、たまたま出血がないタイミングと重なってしまい、
病変を見逃してしまう可能性があります。
2回検査を行うことで、出血のタイミングを捉えられる確率が高まり、検査の精度が向上します。
- 擬陽性(ぎようせい)のリスク軽減:
便潜血検査では、大腸からの出血以外の原因で陽性反応が出ることがあります。
例えば、痔による出血や、生理中の血液の混入、激しい運動による影響などが考えられます。
1回の検査で陽性が出たとしても、必ずしも大腸に病変があるとは限りません。
2回の検査で陽性となった場合に、より大腸からの出血である可能性が高まり、精密検査の必要性を慎重に判断することができます。
- より正確な診断への貢献:
2回の検査結果を総合的に評価することで、医師はより正確な診断に近づけます。
例えば、1回目のみ陽性で2回目が陰性の場合と、2回とも陽性の場合では、その後の対応が異なることがあります。
複数回の結果を比較することで、病変の可能性や緊急度合いを推測することができるのです。
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便潜血検査で「陽性」と診断されたら
もし便潜血検査で「陽性」という結果が出た場合、それは大腸に何らかの出血がある可能性を示唆しています。
しかし、過度に心配する必要はありません。陽性反応が出たとしても、実際に大腸がんである確率はそれほど高くありません。
重要なのは、必ず精密検査を受けることです。
精密検査では、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行い、大腸の粘膜を直接観察します。
これにより、出血の原因となっている病変(ポリープ、炎症、がんなど)の有無や状態を詳しく調べることができます。
大腸ポリープが見つかった場合は、その場で切除できることもあります。
早期の大腸がんであれば、内視鏡治療で完治を目指せる可能性も十分にあります。
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早期発見・早期治療のために
便潜血検査は、自覚症状のない早期の大腸がんを発見するために非常に有効な検査です。
「陽性」という結果に不安を感じるかもしれませんが、早期に適切な検査と治療を行うことが、ご自身の健康を守る上で最も大切なことです。
当院では、便潜血検査で陽性となった患者様に対して、大腸内視鏡検査を実施し、専門的な診断と治療を提供しています。
ご心配なことがございましたら、お気軽にご相談ください。
四日市でお困りの方はもちろん、周辺の東員町・桑名市・いなべ市・鈴鹿市などでお困りの方も是非お気軽にお越しください。